ichi_L’s diary

会計と法務の学習記録として

業務委託契約のセミナーの受講メモ

先日、「業務委託契約」の基本を解説したセミナーを受講した。

個人的なメモをここでまとめておきたい。

  • 業務委託契約」は法律で定義された用語ではない
    →実務上は内実で「準委任契約」「請負契約」に分類されることが多く、判断する必要がある
  • 委任か準委任か
    委任契約・・・法律行為を委託する契約
    準委任契約・・・事実行為(事務処理)を委託する契約
    →実務上は委任契約はほとんどなく、準委任契約か請負契約がほとんど
  • 委任・準委任契約の場合、受託者は「善管注意義務(善良な管理者の注意を持って業務を遂行する義務)」を負う
    →仮に委任者に損害を与えた場合も善管注意義務を果たしていれば損害賠償しなくて良い
  • 請負契約・・・何らかの「仕事の完成」を目的とする契約
    →受託者は「契約不適合責任」等を負う
    →コンテンツを制作する業務委託契約であれば「成果物」を納品することが仕事に成果に当たり、仕事が完成しなければ報酬を受け取ることはできない
  • 業務委託契約のメリット
    労働法が適用されず最低賃金や解雇などに関する規制を受けない(偽装請負のリスクはある)
  • 業務委託契約のデメリット
    ・社内にノウハウが蓄積しにくい
    ・業務指揮命令権がない
     →具体的に進め方などを支持すると「偽装請負」に当たる可能性がある
  • 業務委託契約書のチェックポイント
    (委託側)
    再委託:あなただからお願いする、という業務なのかどうか。無断で再委託されないよう事前承諾を条件とすることが多い。
    (受託側)
    費用負担:受託者負担としつつも、過大な費用が発生する場合は、委託者と別途協議を行って決定する旨を入れることが多い。
    業務遂行上の義務:業務遂行上で必要な資料がある場合は委託者から提供を求めることができる、と定めておくとスムーズに進む。
  • 契約不適合責任
    引き渡された目的物の種類・品質・数量が契約内容(仕様)に適合していない場合に、受託者が委託者に対して負う責任のこと
    →契約不適合責任は任意規程なので原則として契約で修正可能
    (受託側)
    受託者の立場では、契約不適合責任を負うのが「当該契約不適合を知った時から1年間」では期限が不明確かつ長期間になることから「成果物の引き渡し完了時」を起算点とする交渉をする
  • 著作権の帰属
    成果物の著作権の移転を伴う場合、翻訳・翻案権及び二次的著作物の利用に関する原著作者の権利は、それらが移転する旨を明記しないと、受託者に留保されたものと推定される。よって、委託者側としては、契約書には「全ての著作権著作権法27条及び28条に定める権利を含む)」とカッコ書きを明記する必要がある。

私は立場上、受託側の立場がほとんど。大手企業との契約が多いので、修正はほとんど許されないのかと当初は思っていたが、意外と修正案は受け入れられることが多いので、なるべくリスクを低減した契約書のレビューを心掛けたい。
なお、これまで契約不適合責任が全く理解できていなかったのだが、今回のセミナーで少し理解が進んだような気がした。